「今日をもって契約は全て終了よ。安い海外製に切り替えるから、もう来なくていいわ」――大手食品メーカー警告フーズの副社長・柚木彩芽は、藤森製作にそう告げ、十五年続いた取引を一方的に打ち切った。 だが、その相手は、娘の同級生の母親でもあった。藤森の社長・藤森莉央は、胸を押しつぶされる思いで頭を下げるしかなかった。 納品停止から数か月後、警告フーズの工場で異物混入事故が発生する。海外製検査ラインは判定ログを失い、原因究明は難航。しかも疑いの目は、なぜか藤森製作へ向けられた。 莉央は父が残した二重記録の仕組みを武器に、現地調査へ臨む。そこで明らかになったのは、仕様書と違う部品、外部から削除可能な脆弱な設計だった。 彩芽は顔面蒼白となり、初めて自らの判断ミスを認める。信頼を切り捨てた代償は、あまりにも大きかった。