夫・雅紀が見知らぬ若い女を連れて帰宅した瞬間、私はすべてを悟った。 「お前とは離婚だ。この家も荷物も置いて、今すぐ出て行け」 その横で姑は、勝ち誇った顔で笑う。 「愛人に負けた惨めな女ね。引越しはまだ?」 私は静かに視線を上げた。 「あと30分で全部終わります。どうぞご安心を」 その落ち着きが気に入らなかったのか、姑はさらに嘲る。だが私はもう、何年も続いた罵声に心を折られる自分ではなかった。アパレルブランドの社長として働きながら、私はずっと耐えてきたのだ。 やがて業者が到着し、私の荷物は次々と運び出される。雅紀と姑が呆然と見守る中、私は用意していた車へ乗り込んだ。 「は?」 姑の声が、裏返る。 私はドアを閉め、最後に振り返った。家の名義、契約、そして二人の知らない事実は、すべて私の手の中にある。 「ここから先は、あなた方の番です」 車は静かに発進した。顔面蒼白の姑だけが、何も知らずに立ち尽くしていた。