「せいぜい、あと三カ月の余命を楽しめよ」 病室でその言葉を浴びせられた美香は、末期胃がんで入院中だった。だが夫・大介は弱った妻をいたぶるように笑い、こう続けた。「お前名義の土地、売ったら二億になったw その金で愛人に豪邸を買ってやる」 美香は言葉を失った。治療費に追われる自分をよそに、夫は米国の愛人と手を組み、土地を勝手に処分していたのだ。だが、その瞬間、病室の扉が開く。立っていたのは、中学三年の息子・海斗だった。 「もう知ってる。手は打ってある」 冷静な声に、大介の表情がわずかに揺れる。海斗は父の死後、再婚した大介をずっと見てきた。だからこそ、母を裏切る証拠を一つ残らず集め、すでに関係機関へ送っていたのだ。