見合いの席で、息子の母親は相手の女性を一目見て、鼻で笑った。 「ずいぶん地味な格好ね」 女性は静かに頭を下げる。 「申し訳ありません。TPOをわきまえたつもりでした」 しかし母親は止まらない。 「その服装でよくそんなことが言えるわね。やっぱり育ちが悪いのよ」 息子が「母さん、やめてくれ」と制したが、母親はさらに声を荒らげた。 「黙ってなさい。あなたのためを思って言ってるの」 息子は顔を伏せるしかない。 「正直、あなたは息子にふさわしくない。お断りよ」 だが女性は一言も言い返さず、ただ穏やかに微笑んでいた。 その沈黙を、母親は勝ち誇ったように見下ろした。 だが一時間後、空気は一変する。 息子が立ち上がり、はっきり告げた。 「母さん、僕はこの方の品格に惹かれました。暴言にも動じない、素晴らしい女性です」 そして続けた。 「それに、母さんは僕の母親としてふさわしくありません。さようなら」 場の空気は凍りつき、母親だけが言葉を失った。 見合いは一転、痛烈な大逆転となった。