体育倉庫の扉が重く鳴り、窓のない空間に十五人の男子が並ぶ中、転校生の白石美咲だけが壁を背にして立っていた。肩にかけた鞄を静かに床へ置き、彼女は表情一つ変えずに言い放つ。「一人ずつ来ますか。それとも全員まとめて来ますか」その声は低く、乱れがない。囲んでいた十五人は、まるで見えない圧に押されたように一歩、また一歩と下がった。中心にいた黒田ケントでさえ、言葉を失う。美咲はただの新入りではなかった。彼女は早川ひなを守り、黒田たちの理不尽な圧力に決して屈しなかった。父の遺した教えと、胸の内に秘めた過去が、彼女を静かな強さへと変えていたのだ。やがて倉庫の外では、誰もがその一言の意味を知ることになる。転校生を囲んだはずの十五人が、実は自分たちのほうこそ追い詰められていたのだった。