浜田美奈子三十六歳。在宅で翻訳の仕事をしながら、夫の秀明と連れ子の彩と暮らしていた。だが、朝「おはよう」と声をかけても、返事はない。無視される生活に、私はいつしか慣れてしまっていた。しかし忘れ物をして家に戻った日、二人の会話を聞いてしまう。「美奈子がいなくなれば、家も金も全部俺たちのものだ」――その瞬間、背筋が凍った。さらに調べると、秀明の浮気相手は親友の由美。しかも三人は、私を邪魔者として消す計画まで立てていた。身の危険を感じた私は、最低限の荷物だけを持って姿を消した。数日後、焦った秀明から鬼電が鳴り響くが、私は録音していた会話を再生する。そして、由美との不倫、財産目的、毒まで使う計画の証拠を突きつけた。弁護士と警察が動き、三人は慰謝料と借金を背負うことになった。私は実家を手放し、新しい土地で静かに暮らし始める。もう、居ない者として扱う家族はいらない。今の私は、ようやく本当の平穏を取り戻した。