妻を亡くし、七歳の娘リコと二人で暮らす耕平は、毎日を仕事と家事で必死に支えていた。だが、娘は母を失ってから何も欲しがらず、笑顔も減ってしまう。そんな折、職場で「氷の女」と呼ばれる霧島エリカと、図書館で思わぬ形で再会した。ある日、リコが彼女に読み聞かせをせがむと、エリカは会社で見せる冷たい顔を消し、静かに本を読み始める。その柔らかな声に、リコは久しぶりに笑った。耕平は驚く。さらに、エリカはリコの古い絵本に残る妻・美咲の図書カードを見つけ、亡き妹との記憶を重ねていたのだ。失った痛みを知る二人は、少しずつ距離を縮める。やがて入学式の日、リコはエリカの袖をつかみ、小さく言った。「明日も来てくれる?」その一言が、凍っていた三人の時間を静かに溶かしていった。