「お子さんを連れたまま面接会場には入れません」妻の緊急手術で1歳息子を背負って来た30歳男――床に散った設計図を拾った62歳女性会長は、彼の顔を見た瞬間動けなくなった…
2026/09/22
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「お子さんを連れたまま面接会場には入れません」受付の言葉に、田中裕人は背中の一歳の息子を抱きしめた。妻・美咲が緊急手術となり、預け先のないまま、彼は設計図を抱えて東久志建設へ来たのだ。図面を渡そうとした瞬間、ケースが開き、床へ散った紙を拾う裕人。その前に現れたのが、会長・北川文子だった。文子は泣く子を見下ろし、拾い上げた図面に目を落とした。そこには「風の通る場所には人が戻ってこられる」と記され、亡き夫が語っていた言葉と重なった。さらに裕人の顔立ちは、二十五年前に失った息子・勇気にあまりにも似ていた。再面接の後、古い指輪と写真が結びつき、裕人は自分が文子の息子だと知る。失われた家族の時間は、設計図のように静かに、しかし確かにもう一度つながり始めた。

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