入社して七年、俺は都内の会社で平穏に働いてきた。唯一の例外は、課長の古賀さんだ。仕事は抜群にできるのに、ぶっきらぼうで口が悪く、周囲には恐れられていた。だが俺は知っている。あの人は不器用なだけで、本当は誰より部下思いだ。ある日、その古賀さんに会議室へ呼び出された。何か叱られるのかと思った矢先、彼は食い気味に言った。「娘と一ヶ月暮らしてくれ」――海外出張の間、二十一歳の娘・なおさんを一人にできないという。しかも悪質なストーカーの影まであるらしい。古賀さんは感謝すると約束し、俺はつい「では娘さんと付き合わせてください」と口にした。驚く二人に、俺は守りたいと思った理由を告げた。なおさんは顔を赤らめ、「ひさとさん、よろしくお願いします」と頭を下げる。