こんな履歴書でよくもまあこの会場に来られたものだ。 人材派遣会社エリートリクルートの社長・田島が、三十一歳の山田美咲を大勢の前で嘲笑した瞬間、会場は凍りついた。美咲は就活で百社落ち、父と母を看取り、生活費も尽きかけた末に、最後の望みをかけて合同面接会へ来ていた。だが十五年前の春、彼女にも忘れられない出来事があった。高校生だった美咲は、コンビニ前で迷子になり泣いていた六歳の少年・陸人に、全財産の1500円でサンドイッチと温かいスープを買ってやったのだ。青と白の星のミサンガを見せるたび、少年は「美咲お姉ちゃん」と笑った。公開処刑のような辱めの中、会場奥から一人の青年が歩み出る。 「美咲お姉ちゃん」 その声に、美咲の時間が止まった。青年は陸人、そして彼の父・佐藤社長は田島の暴言を断罪し、取引停止を宣告する。