横断歩道の真ん中で倒れた老婆を見た瞬間、俺の足は勝手に動いていた。周囲は通勤を優先して誰も助けない。点滅する信号の中、俺は絹江さんを抱きかかえ、必死に向こう側へ運んだ。だが、限界まで追い詰められていた体はそこでついに崩れ、そのまま倒れて入院することになった。俺は田辺紀仁、ヘルシーライフというブラック企業で働く営業職だ。社長の伊集院に罵倒され、雑務を押し付けられ、給料まで削られ、心も体も限界だった。そんな俺が病室で再会した絹江さんは、穏やかな顔で衝撃の一言を放つ。 「アンタの会社、潰すわ」 「え?」やがて絹江さんの正体が明かされる。彼女は旧財閥系の大物社長で、伊集院はかつて信頼を裏切った男だった。さらに彼女は、俺の会社の悪質な実態をすべて把握していたのだ。数日後、ヘルシーライフは一気に崩壊。俺は救われ、再出発の道を与えられることになる。