「派遣は黙って働けw」陽光世紀の倉庫に、ひがき部長の怒声が響いた。 「今日限りで契約は終わりだ。長年ご苦労さんとは言わない」 そう吐き捨てられたのは、十年一度も不良品を出さなかった中卒の派遣、早瀬瑞稀だった。彼女は中学卒業後からこの工場で検査を続け、学歴も資格もないまま、指先の違和感だけを頼りに現場を支えてきた。だが、海外向けの重要ロットに微細な歪みを見つけても、部長は「派遣は黙って働け」と切り捨てる。瑞稀は反論せず、静かに去った。しかし翌朝、状況は一変する。 百億円規模の契約先、ノバ・プレシジョン社が突然、取引白紙を通告したのだ。理由はただ一つ。「我々が信頼していたのは、あの検査員の目だ」さらに瑞稀の実力は国際的に評価され、新たな責任者として声がかかる。 一方、ひがきは部長職を失い、会社は資金繰りに詰まって倒産へ。 黙って働かされていた女は、会社そのものを終わらせる存在だった。