結婚式の披露宴、新婦の上司・湯山がマイクを握った瞬間、会場の空気は一気に凍りついた。 「新郎は母子家庭で高卒、町工場勤めだそうですね。うちが取引をやめれば、あの会社なんてすぐ潰せますよ」侮辱を浴びせられた拓哉は、拳を握りしめたまま耐えた。何を言い返せば、母や社長にまで迷惑が及ぶか分からない。だが次の瞬間、静かに立ち上がったのは、町工場の社長・平松だった。「取引をやめてくださって結構です」ざわめく会場を前に、社長は堂々と告げた。拓哉は不器用でも真面目に働き、誰よりも懸命に会社を支えてきた。そんな若者を侮辱する相手に、会社を差し出す理由はない、と。 さらに社長は「彼は私の息子のようなものだ」と言い切り、会場は大きな拍手に包まれた。