私は百三年を生きて、ようやく断言できるようになりました。 長く生きる人と、早く弱ってしまう人の差は、食事の上手さだけではありません。野菜を選び、塩分を控え、毎日歩いていた人が、先に静かに去ることもあるのです。若いころの私は、その理由を食卓の中だけに探していました。けれど、答えは別のところにありました。それは、朝起きたあとに向かう場所があるかどうか。待っている庭があるか、声をかけてくれる誰かがいるか。仕事を手放した朝、夫を見送った朝、私は初めて「次の朝を待つ理由」の重さを知りました。湯のみを二つ並べたまま、誰もいない席を見つめた朝もありました。しかし、庭の草を抜き、娘に電話をし、もう一度「おはよう」と言えた日から、私は生き直しました。人を支えるのは食事だけではなく、明日を少し待つ心なのです。