父の葬儀を終えた夜、実家に帰ると、義両親を連れた夫・和也が待ち構えていた。 「お前が相続するタワマンは、俺の親に渡す。嫌なら離婚だ」 そう言って離婚届を突きつける彼に、私は静かに答えた。 「了解」 和也は一瞬、言葉を失った。私は都内の信用金庫に勤める紡ぎ。母を亡くした後、足を痛めた父と同居し、和也も最初は賛成していた。だが父が寝たきりになると、彼の態度は豹変。介護を押しつけたうえ、義両親まで「タワマンに住める」と乗り込んできたのだ。私は即座に離婚届を提出し、父の友人で弁護士の佐々木さんに相談した。さらに、タワマンはすでに佐々木さんへ売却済みだったと告げると、和也は激怒したが、もう遅い。慰謝料請求の現実を突きつけられ、和也も義両親も沈黙した。 その後、夫は店も失い、義両親も都内暮らしに失敗。私は父の遺した思い出とともに、新しい人生を歩み始めた。