料理を作るたび、夫の友広と娘の七瀬は決まって外食へ出かけた。家族のために心を込めて作った食事を、まるで存在しないもののように扱われる日々。専業主婦だった私は、いつしか「家族に必要とされていない」と感じるようになっていた。しかし、そんな屈辱の毎日に終止符を打つ決意をする。出産を機に退職してから十年以上離れていたITの世界へ戻るため、職業訓練でプログラミングを学び直した。最初は不安だったが、過去に培った経験と努力は消えていなかった。やがて私は大企業への再就職を果たし、自分の人生を取り戻していく。夫に離婚を告げた時、友広は驚きを隠せなかった。だが、私が求めていたのは復讐ではなく、誰かの妻や母としてではなく、一人の人間として尊重される人生だった。