この季節、草むらをよく見ると、可愛らしい紅紫の花を咲かせたカラスの遠藤が満載だ。市端は、そんな遠藤を大量に集め、かの有名なずんだ餅を再現しようとひらめく。とはいえ、小さな豆を一つ一つ手でむく作業は気が遠くなるほどだ。しかし彼女は諦めず、数千粒もの豆を集めることに成功した。ほどなくして、調理が開始され、カラスの遠藤は素材の味を活かしたあんとして生まれ変わる。白玉と合わせれば、立派なずんだ餅が完成だ。この努力の結晶は、見た目も味も本格的。豆の風味とほんのりした甘みが絶妙に絡み合い、市端は満足気にその出来栄えを楽しんだ。市端の思わぬ挑戦は、自然の恵みを最大限に活かした特製和菓子という形で結実した。