愛知県と岐阜県で名鉄が支配的な鉄道網を築き上げた理由を探ると、その背後には興味深い歴史と戦略が隠されています。この地域でなぜJRが「弱者」なのか──それは名鉄(名古屋鉄道)の大胆な戦略と徹底的な拡張によるものでした。名鉄の路線網は総延長約444km、駅数は275駅と全国でも第2位の規模を誇ります。さらには、中部国際空港「セントレア」へのアクセスも独占するなど、その影響力は絶大です。しかしかつての名鉄は必ずしも「王国」ではありませんでした。路線の分散やスピード面でJRに劣り、「ミニ濃国鉄」などと揶揄されることもありました。名鉄が大きく飛躍したのは、岐阜県への路線展開と名古屋駅への乗り入れを強化した戦略です。さらに、岐阜電気鉄道との合併や、愛知県内の鉄道を次々と統合することで、現在の広大な路線網を形成。これが名鉄王国を築く礎となりました。鉄道王国・名鉄が誕生した背景には、几帳面な戦略と競争の歴史があります。それは、愛知県・岐阜県が鉄道ファンの聖地と呼ばれる所以なのです。