夜の街角、女子高生の舞は募金箱を手に通りすがる大人たちに声をかけていた。「妹を助けたいんです、何でもしますから」と必死な表情で訴える彼女に目を留めた僕は、かつて交通事故で弟を亡くした経験を持つ。それ故に、彼女の気持ちが痛いほど分かった。その瞬間、スーツ姿の男が募金箱を奪おうとするのを見て、体が反射的に動き、彼女の手を引いて走り出した。「急にすいません、ありがとうございます」と感謝する彼女の言葉に僕は答えた。「この縁を大切にしたい。僕も手伝います」と。日ごと募金活動を共に続け、僕らは互いに理解を深めた。ある日、彼女が来ないことを不安に思った矢先、彼女が交通事故に遭ったと電話を受けた。駆けつけた病院、目を閉じる彼女の手を握り、「諦めるな」と声をかけた僕に、彼女は微笑みつつ「泣かないで、頑張るから」と言った。その後、彼女の回復と妹さんの治療のために募金が集まり、彼女と僕は運命に結ばれ、夫婦となった。