毎朝、兄のバイクの後ろに座り、風を切りながら学校へ通学していた日々が懐かしい。兄はいつも笑顔で、「今日もいい天気だな」と言っていた。それが私たちの最後の会話になるとは想像もしなかった。その日の夕方、事故で兄は天国に旅立った。私は涙も出ず、兄がもういない現実を受け入れられなかった。数日後、兄の部屋に入ると、小さなヘルメットと手紙が机の上に置かれていた。その手紙には、ずっと私を気遣ってくれていた兄の思いが込められていた。涙が止まらず、そのヘルメットを被り、自転車で一人で学校に向かった。その日、景色が少し優しく感じられた。兄が選んでくれたヘルメットは今も私の部屋にある。いつか兄とまた走れる日が来ることを夢見て、今日も頑張って生きようと思う。きっとその日は、「よく頑張ったね」と兄は笑ってくれるだろう。