10歳の娘が妊娠？ そんな馬鹿げた話が現実のものとなった日、私たち家族は一変しました。娘・知恵の体調不良がきっかけで受けた血液検査の結果、「妊娠の可能性がある」という電話が病院からかかってきたのです。あまりの衝撃に言葉を失った私は、娘に真偽を問いただしましたが、彼女は顔を真っ青にしてただ黙るばかり。それだけで疑惑は深まりました。その夜、夫にこの話を打ち明けると、彼は異常なまでに動揺し、強く否定するばかり。翌日、再検査を受ける予定でしたが、病院に行くと「そんな連絡をした記録はない」と言われ、私の困惑は増すばかりでした。そして帰宅した私が目にしたのは、床に倒れた夫と、彼が残した「娘の妊娠は俺のせいだ」という一枚の遺書でした。夫がこの世を去り、警察の調査で「彼が娘を妊娠させた可能性がある」と告げられた私は絶望に打ちひしがれました。しかし、遺書をじっくり見るうちに違和感に気づいたのです。筆跡が夫のものと少し違う…そして、思い出しました。初めて娘を病院に連れて行った際、美人の看護師から受け取ったメモの筆跡に似ていることに。警察にその疑念を伝えると、彼らの捜査が始まり、ついに看護師・亜里沙の正体が明らかになりました。彼女は夫の元恋人であり、別れた後も執拗に彼を追い続けていたのです。夫が娘を妊娠させたという偽の電話をかけ、遺書を偽装して彼を追い詰めたのも彼女でした。警察に追い詰められた亜里沙は最後まで罪を認めようとしませんでしたが、私の夫の命を奪った罪で裁判にかけられ、長い刑務所生活を送ることになりました。一方で、私と娘は夫の残された思いを胸に、警察犬を訓練する仕事を通じて第二の人生を歩んでいます。娘は「いつか警察犬訓練士になりたい」と夢を語り、未来に向かって輝くような笑顔を見せています。