余命宣告を受け、病院のベッドで絶望に沈んでいた私の携帯に夫からの電話が鳴った。「家を売った金で彼女と海外旅行に行くわ」。その一言に私は言葉を失った。父から譲り受けた大切な家を売り飛ばし、その金で浮気相手と遊ぶつもりらしい。「息子はどうするの？」と尋ねる私に、夫は「なんとかするだろ」と他人事のように答えた。ショックで容態が悪化し、心が折れかけていた私のもとに、息子のひかるが笑顔でやってきた。「ママ、大丈夫だよ。手は打ったから」。息子の言葉に何かを感じた私は彼の行動力に期待するしかなかった。数日後、夫がホテルのロビーで下着姿のまま見知らぬ人々に笑われているという話を耳にした。なんと、浮気相手に騙され、財産を奪われた末の姿だったのだ。息子の手回しによって家の売却も阻止され、私たち親子は再び笑顔を取り戻した。そして私は息子の支えで治療を受ける決心をし、新たな人生を歩み始めた。