東京・新宿の一角に存在する歌舞伎町。現在では日本を代表する歓楽街として知られていますが、かつてこの場所が総理大臣の邸宅が並ぶ静かな住宅地だったことを知る人は少ないでしょう。幕末から明治初期の歌舞伎町一帯は、人の気配も少ない湿地帯でした。しかし、その土地に大きな可能性を見いだした女性がいました。それが峰島清です。彼女は激動の明治時代、西南戦争によって暴落した国債を大量購入するという大胆な決断を下し、莫大な利益を得ました。その資金で新宿周辺の広大な土地を取得し、後の歌舞伎町の基盤を築いたのです。大正から昭和初期にかけて、この地域は政治家や文化人が暮らす上品な街へと発展しました。戦前には岡田啓介、平沼騏一郎、阿部信行という三人の総理大臣が邸宅を構え、現在のイメージとは正反対の落ち着いた住宅街でした。