マグロ漁船の裏側には、想像もできない過酷な現実が広がっている。乗組員たちは、出航すると半年以上も帰れない、数千キロ先の公海で孤独と戦う日々が続く。ネットも電話も通じない世界で、心の支えは船内の仲間だけだ。物々交換が基本の生活で、現金は持たない。酒やタバコも重要な取引材料だし、船長の気分で配給が減ることも珍しくない。寝る暇もほとんどなく、長時間働き続ける毎日。新人の9割は最初の公海で辞めてしまうと言われるほど、過酷な環境だ。求人広告に書かれている月収50万円は、実際には合計が取れなければ数万円にしかならない現実。命をかけて働いても、後悔と赤字で終わることもある。