65歳で定年を迎えた山本夫婦と中村夫婦。二組はほぼ同じ資産を持ちながら、老後の住まいについて正反対の選択をしました。山本夫婦は「思い出のある家で最後まで暮らしたい」と、持ち家を守る道を選びました。一方、中村夫婦は「元気なうちに便利な場所へ移ろう」と、自宅を約1500万円で売却し、駅近の賃貸マンションへ移りました。最初の数年間、どちらも安心して暮らしていました。しかし10年後、75歳になった二組の妻は、それぞれ違う壁に直面します。山本さんの妻には、古くなった家の修繕費、固定資産税、庭の管理という負担が増えていきました。家という資産は残っていても、一人で維持する体力が失われていたのです。一方、中村さんの妻は、家賃を払えるだけの年金と貯金があっても、保証人や緊急連絡先の問題で希望する部屋へ簡単には移れませんでした。10年前の選択に、明確な正解はありませんでした。持ち家には家賃のない安心があり、賃貸には身軽に暮らせる安心があります。