夫の豊さんは、本当に優しく誠実な人で、私たちは職場で知り合い、3年の交際を経て結婚しました。しかし、新婚旅行の最終日に彼は心不全で急に亡くなりました。私は彼の両親に顔向けできず、10年間ただ時間が過ぎていくのを感じました。彼の命日にお墓参りをしていると、背後から「井板佳菜さんですか」と懐かしい声が聞こえ、振り返るとそこには双子の弟、結弦さんが立っていました。彼の存在を知らなかった私は驚きつつも、豊さんの手紙を彼から渡されました。「何かあったら彼女を頼む」と書かれていたその手紙に、私は深い愛を感じました。その後、結弦さんと連絡を取り合うようになり、彼と過ごす時間が増えるにつれて、心が少しずつ癒えていくのを感じました。豊さんの命日、お墓に手を合わせ、彼に「私は幸せになってもいい?」と問いかけると、「もういいよ」という彼の声が風に乗って聞こえました。涙が止まらず、結弦さんに支えられながら、新たな人生を踏み出す決意を固めました。