家の中には義母や義父、そして義妹の春香一家まで住み着いていた。しかも義母は悪びれる様子もなく、「息子がここにずっと住めって言ったのよ。部屋も足りないから、あなたは廊下で寝てね」と笑顔で言い放つ。出産を終えたばかりの妻に対するあまりにも身勝手な態度。だが、のぞみは怒りを抑えながら、誠がなぜ家族に逆らえなかったのかを知ることになる。誠は幼い頃から血のつながらない家族の中で、愛されるために必死に尽くしてきた。母親の言うことを聞き、妹の世話をし、何を頼まれても断らない「都合のいい息子」として扱われていたのだ。しかし、のぞみとの結婚、そして生まれたばかりの娘との生活によって、誠は初めて本当の家族の温かさを知った。「もう俺は、あなたたちのお人形じゃない。のぞみの夫で、娘の父親なんだ」その言葉に義家族は動揺する。だが、彼らはまだ誠が昔のように従うと思い込んでいた。誠は義家族に家を譲る形を取り、彼ら自身に購入させることを決断する。義母たちは「これで本当に自分たちの家になった」と喜び、大きな借金までして土地と家を手に入れた。しかし、それは誠の復讐ではなく、自分の人生を取り戻すための選択だった。約束されていた返金はなく、義家族は初めて現実を突きつけられる。今まで利用してきた誠が、もう言いなりの存在ではないことを理解したのだ。一方、のぞみは実家に戻ったまま、無理にその家へ帰ることはなかった。生まれたばかりの子供を抱え、愛情のない場所に戻る理由などなかったからだ。その後、誠とのぞみ、そして娘の三人は穏やかな日々を取り戻す。朝、一緒にコーヒーを飲み、何気ない会話を交わす。そんな当たり前の時間こそが、本当の家族の幸せだった。誰か一人の犠牲の上に成り立っていた偽りの家族は崩れ去り、利用され続けた誠はようやく本物の家族を手に入れた。里帰り出産から戻った妻が見た衝撃の現実。しかし、その出来事こそが、誠とのぞみにとって新しい人生の始まりだった。