かつて日本中の家庭で親しまれた「ナショナル」という名前。その消滅の裏には、創業者・松下幸之助の覚悟と決断が隠されています。松下は1894年、和歌山県で生まれ、幼少期は貧困の中で育ちました。父の事業失敗により学校を辞めざるを得ませんでしたが、6歳で大阪電灯会社に入社。働きながら若干23歳で独立し、「松下電気器具製作所」を設立しました。初のヒット商品「改良型電球ソケット」、そして革新的な二股ソケットの大成功で松下は確固たる地位を築きます。その後、「水道哲学」の理念を掲げ、「電気を水や空気のように手軽に」と日本中に広めました。そして1935年、ブランド名「ナショナル」が誕生し、「明るいナショナル」のキャッチフレーズで多くの家庭に浸透しました。しかし、海外進出の際に商標問題に直面。松下は1955年、海外向けブランドとして「パナソニック」を登録します。ギリシャ語の「全て」を意味する「パン」と「音」を指す「ソニック」を組み合わせたこの名前は、音響技術への自信を象徴しました。そして2008年、創業90周年を機にブランドは「パナソニック」に統一。これは国内外の全ての顧客に最高の価値を届けたいという松下の想いが形となった瞬間でした。