祝福の言葉をあえて封じた――。高知で開かれた「国民文化祭」の壇上に、天皇皇后両陛下が立たれてから、わずか3秒後のことだった。会場は期待に満ちていたが、陛下の第一声は祝辞ではなく、令和8年の熊本地震や相次ぐ豪雨、台風の被災者への深い哀悼とお見舞いだった。その瞬間、約千人の列席者は息をのみ、静寂に包まれた。雅子さまのボルドーの装いと、陛下の深紅のネクタイは見事に調和し、二人の佇まいは華やかさの中に祈りを宿していた。九年ぶりの高知訪問という重みも相まって、その姿は特別だった。陛下は続いて、高知の自然、伝統工芸、よさこい、漫画文化、そして障害の有無を超えて楽しめる祭典の意義を丁寧に語られた。会場にはやがて、静かな感動と大きな拍手が広がっていった。