産婦人科の病室で静かに過ごしていたある日、突然義兄嫁が現れた。「早く赤ちゃん下さい」と、まるで当然の権利のように要求してきたのだ。隣で聞いていた父は驚きの声で「は?」と返事をした。義兄嫁は続けて、「だから!ウチでひきとるんですよ!」とさらに言い募る。私はその場で呆然とし、「何を言ってるんだコイツ…」と心の中で叫んだ。義兄嫁の突拍子もない要求に病室には一瞬緊張が走った。しかし、その時だった。かつて見たこともない父の毅然とした態度が際立ち、義兄嫁を落ち着かせ、その場の空気を一変させた。父が冷静に「そんなことはありえません」と断言したことで、義兄嫁は観念したように静かに病室を後にした。私たちはその後、何事もなかったかのように穏やかな時間を取り戻したのである。この一件を通じて、家族の絆はより一層強くなったのだった。