ある下町の寿司屋で一人の大将、鉄道は寿司を握り続けていた。ある日、ふらりと現れた老夫婦が店を訪れる。結婚50周年の祝いだと穏やかに話すその紳士と夫人に、鉄道は寿司を振る舞った。店じまいを告げる鉄道に、老夫婦は静かに感謝し、去る。翌日、鉄道は解体作業員のトラックを店の前に見つけ驚いた。その老夫婦は実は大企業の会長夫妻で、店の改修を決めたのだ。驚くべきことに、費用はすべて会社持ちだった。数日後、新しい店で老夫婦が再来し、寿司を頼む。鉄道は彼らの静かな支援に感謝し、再び心を込めて寿司を握った。老夫婦の手紙を読み、人生がほんの少しの親切で変えられることに深く感動した鉄道は、寿司に新たな意味を見出すのだった。寿司屋は再び息を吹き返し、鉄道はゆっくりと新しい一歩を踏み出す。