20年前、元夫を奪った親友に再会した日、医科大学のキャンパスは桜が満開だった。私は慌ただしい入学式の片付けをしていた。突然聞こえる馴染みのある声。「うちの子、今日の入学式なの」と華やかに語るのは、かつての親友、麻衣だった。隣には元夫、康一が得意げに立っている。「医学生の特待生なんだぜ」と豪語し、私に挑発的な視線を送る。私は静かに礼を述べ、立ち去ろうとするも、事務員が声をかける。「先生、お電話です」と告げられ、動揺する二人。「え？先生？」疑惑を深めた表情が面白かった。私は医学の英語教師としてここで教壇に立っている。この20年で私が築いてきた新しい人生に、彼らは驚いていた。「昔のことは娘には関係ない」と焦る康一に、私は冷静に答える。「生徒には公平に接します」これで終わりだ。再会は彼らの過去を暴く結果となり、私はただ前進することを選んだ。