かつての同級生A子から道端で旧姓で呼び止められた時のこと。彼女はかつての華やかさを失い、見知らぬ太った女性だった。「A子…?」驚愕する私に、A子は切羽詰った顔で「K子のこと知ってるでしょ?」と頼んできた。学生時代、A子はK子を執拗にいじめていたが、どうやら今になって彼女に謝罪したいらしい。話を聞くと、最近A子の人生が上手くいかず、霊能者にも呪われていると言われ、K子のことを思い出したとのこと。彼女はK子が以前「一生幸せになれない呪いをかけた」と呟いたことが頭を離れないという。しかし、私もK子の連絡先を知らないと言うと、A子は青ざめて立ち去った。実際には、私はK子の連絡先を知っており、その晩彼女に電話した。なんと、K子はかつての呪いの話をすっかり忘れ、中二病の頃の戯言だと笑い飛ばした。他愛もない青春の一幕が、数年後にこんな形で笑い話になるとは、人生は不思議なものである。