1991年3月14日、広島市で進行中だったアストラムラインの建設工事で、重大な事故が発生した。新交通システムの一環として建設中の橋桁が、作業ミスによって突如として車道に落下し、信号待ちをしていた車両に直撃した。予期しなかったこの事故で、15人の命が奪われ、さらに多くの人々が重傷を負った。この工事はアジア大会を控え、広島市の渋滞解消を目指した重要なプロジェクトだった。しかし、現場の作業員はほとんどが経験の浅い素人で、作業手順や安全確認が十分に行われていなかった。特に、作業員の一部はわずか数ヶ月前まで全く異なる業種に従事しており、重機の取り扱い経験も乏しかった。事故当日、巨大な橋桁が異常な状態で吊り下げられており、作業員たちは不安を抱えながら作業を続けていた。数時間後、ジャッキが限界を迎え、橋桁が落下。まさにその瞬間、信号待ちをしていた車両に直撃し、悲劇が巻き起こった。犠牲者の中には、プールに向かっていた若い女性の姿もあった。この事故を受けて、元請け企業や行政は責任を逃れるために言い訳を重ね、遺族の怒りが爆発。広島市は事故当初、工事の判断ミスを認めず、結果として市民生活よりも交通利便性を優先した行政の判断が引き金となり、数十人の命が失われた。