会社での理不尽な扱いを受け、辞表を提出した。女社長の瑠璃子さんは中卒の俺を見下し、「ここはあんたの居場所じゃない」と冷たく笑った。幼少期に両親が離婚し、母を支えるために早くから働いてきた俺にとって、学歴なんて関係ないと思い続けてきたが、現実は厳しかった。しかし、俺にチャンスをくれたのが転職先の山根社長だった。面接の日、彼が遅刻してきた理由は、道に迷った老人を助けていたからだった。その話を聞いて、俺はこの人のもとで働きたいと強く思った。新しい職場で経験を積み、充実感を感じる日々を過ごしていた。そんなある日、瑠璃子さんから連絡がきた。彼女は活動を共にした日々を振り返り、「中卒なんて気にしないで」というが、俺はもう彼女に戻る気はなかった。新たな一歩を踏み出した俺を、山根社長は「大きな魚を逃しましたな」と笑いながら見守ってくれた。