1980年代、日本のバイク業界はレーサーレプリカブームによって激動の時代を迎えました。当時の若者たちは、ホンダのMBX50やヤマハのTZRなど、まるでサーキットから飛び出したかのような原付バイクに夢中になったものです。特に高校生たちは、排気音と共に駆け抜ける原付に憧れ、自らの青春を重ねていました。私が最初に心惹かれたのは兄が購入したMBX50でした。見た瞬間、その洗練されたデザインとシャープな乗り心地に目が釘付けになりました。ブレーキやサスペンションなど、細かな装備も充実しており、兄からそのバイクを譲り受けた時の喜びは、今でも鮮明に覚えています。また、1987年に登場したヤマハのNSR50も話題の中心でした。軽量で強力なエンジンは、まさにミニレーサーそのもので、多くの若者たちにとって憧れの存在でした。当時、私は友人から一時的に借りたこのバイクに乗る経験をし、その加速感に震えたものです。あの頃の輝きは、時を経ても色あせることなく、今も多くのバイクファンの心に生き続けています。昭和の街を駆け抜けた原付たちは、青春の象徴であり、その時代を知る者にとって永遠の宝物です。