かつて、九州には野生の熊が生息していましたが、昭和初期にはその姿はまれにしか見られなくなり、数は激減していました。1987年に大分県の分房野市で捕獲されましたが、調査の結果、本州から持ち込まれたもの、またはその子孫であると結論付けられました。そして、2012年には環境省が正式に絶滅宣言を出しました。では、なぜ熊の数が減少したのでしょうか。主な理由は九州の森林状況にあると考えられています。九州の人工林率は全国平均の40%を上回り、50%以上となり、特定の県では60%を超えることもあります。冬を越すために必要なエネルギーを蓄える熊にとって、ドングリの実は重要な食料源ですが、人工林の増加でドングリを生産する樹木が減少し、結果として食料不足が熊の生存を困難にし、絶滅へとつながったのです。