ロータリーエンジンは、マツダ787Bのル・マン制覇で名を刻み、RX-7やRX-8で多くのファンを魅了してきた。往復運動を使うレシプロと違い、燃焼の力をそのまま回転へ変えるため、構造は驚くほど小型で、しかも滑らかに高出力を引き出せる。ローターが一回転するあいだに三つの作動室で燃焼が起こり、エキセントリックシャフトは強いトルクを受けて回る。バルブやカムチェーンが不要なぶん部品は少なく、発電用ユニットとしてMX-30にも採用されたのは、この軽さと収まりの良さが理由だ。だが、燃費の悪さは構造に刻まれている。燃焼室が細長く熱が逃げやすいこと、低回転のトルクが弱いこと、さらにアペックスシールやオイル燃焼が排ガス性能を厳しくする。だからこそ、今ロータリーは“主役”ではなく“切り札”として静かに復活しつつある。