鎖国時代の江戸に生まれた混血の少女、楠本いねの人生は、波乱と試練に満ちていた。父はオランダからの医師シーボルト、母は日本人という特殊な出自を持つ彼女は、幼くして父と別れ、母とも引き離されるという辛い経験をする。それでも医学への情熱を燃やし、日本初の女医として名を成すが、混血であることや女性であることが障害となり、数々の困難に直面する。師匠からの望まぬ関係に耐えながら、一人で子どもを育てる道を選び、生まれた娘には「ただ」と名付ける。その娘もまた、母と同様に波乱に満ちた運命をたどる。女性として、母として、医師として生きたその姿には時代を超えた力強さが宿る。