北陸新幹線の開業当初、長野や富山、金沢の都市は活気を取り戻し、経済の恩恵を享受していました。しかし、それとは対照的に、衰退の道を辿ることになった地域もあり、その一つが小諸市でした。50年前、新幹線計画が長野県経由で北陸方面に進行する話が持ち上がった時、一度は頓挫しました。その後、80年代後半に計画が復活した際、小諸市も期待に胸を膨らませていました。しかし、計画はフル規格ではなく、在来線活用案で落ち着きました。小諸駅の住民たちはこれに不満を抱きつつも、新幹線の恩恵に頼らざるを得ませんでした。こうして、小諸市は新幹線の通過地域となり、特急列車は姿を消しました。商店街は次第に寂れ、かつての賑わいは失われつつあります。この現象は、地元の若者が仕事や生活を求めて東京へ流出する結果にもつながりました。新幹線がもたらした明暗の両面は、地域の未来に対する警鐘とも言えるでしょう。