名古屋駅から電車でわずか30分の場所に位置するJR定光寺駅、その駅前はまるで時が止まってしまったかのように、廃墟が広がっています。このエリアはかつて、大都市近郊の観光スポットとして栄えていました。昭和初期には名古屋に近い立地を活かし、料理人が旅館を構え多くの観光客や要人を迎えていました。駅前の景観は賑わいを見せ、一時は華やかな時代を謳歌していました。しかし、時代の変化は無情でした。車社会の到来と共に観光の中心は岐阜や長野へとシフトし、人々の流れは消えていきました。さらに、バブル崩壊は旅館の運営を圧迫し倒産に追い込みます。廃墟と化した建物は不審火の被害に遭い、取り壊しも進まず、放棄状態が続きました。今では、防犯カメラとフェンスが設置され、物悲しさが漂うだけです。その静寂の中、過去の栄華を知る者は何を思うのでしょうか。