人生80年時代を生きる中で、長生きとは本当に幸せなのか、仏教の視点から考えてみましょう。仏教では、人生の長さだけでなく、その中身を重視します。お釈迦様は寿命を細い藤のように例えます。この藤はいつか途切れるか予測がつかない、はかないものだと。つまり、どれだけ長生きしても、その命は儚いものなのです。さらに、昼と夜に例えられた白と黒のネズミが、絶え間なく我々の命を噛み続けると説かれます。現代では、科学技術が進み、キャリコのような企業が人類を500歳まで生き延ばすことを目指していますが、この長寿そのものが果たして幸せなのかと、仏教は問いかけます。仏教の教えでは、長生きすること自体が目的ではなく、どのように命を全うするかに価値を見出します。長生きが幸せか状態かを決めるのは、寿命ではなく、内面の豊かさや平和感にあると、仏教は私たちに思索を促します。とはいえ、何百歳まで生きたとしても、その命は藤のようにはかない。それを知った時、私たちは本当に意義ある生を考え始めるのではないでしょうか。このように仏教の教えは、長寿の時代に我々が生きる意味を深く問い直す視点を提供してくれるのです。