社員旅行当日、現地に前乗りしていた私にそう電話してきたのは、営業部課長の山田だった。私は精密機器メーカーに勤めるごく普通の会社員。創業記念の豪華ハワイ旅行を全社員が心待ちにしていたが、山田は日頃から虚偽や冗談で部下を振り回す人物として知られていた。「明日からだぞ」と笑う声に違和感を覚えつつも、私は通知をすべてオフにし、今日は一人で羽を伸ばすことにした。だがホテルに確認すると「皆様すでにチェックイン済み」と告げられる。嫌な予感が走る。一方の山田は、誤情報を信じ込ませたつもりが、実際には自分だけ日程を勘違い。空港での乗り継ぎミス、ホテル変更のすれ違い、連絡不能――結果、五日間ほぼ単独行動という悲惨な展開となった。帰国後、山田は「トラブルが重なった」と弁明するが、部長は厳しく問いただす。