母が珍しく私にお茶を入れてくれた日、胸騒ぎがして仕方がなかった。普段そんなことはあり得ないからだ。彼女がお茶を持ってきたとき、私の警戒心はピークに達していた。彼女がトイレへ行った隙に、私は静かにお茶を入れ替えた。この違和感を確かめるために。母が戻ってきてお茶を飲んだ二十分後、彼女は突然眠り込み始めた。バッグを探ってみると、睡眠薬の空きパックが見つかった。その時、寒気を覚えた。何を企んでいたのかと震えが止まらなかった。夫に電話で事情を説明すると、彼はすぐに帰ると言ってくれた。安心した半面、今後母とどう向き合っていくべきなのか、頭を悩ませた。母が時折目を覚ましては何かを言おうとするが、まともに言葉にならず苛立たしげだった。母が企んだ企みの全貌を知ることはできなかったが、私はこれ以上母と関わらない決意を強くした。