十年前の夏、俺は歩道で倒れていたおばあちゃんを見つけた。作業中だったが、人命が最優先だと思い救急車を呼んだ。しかしこの決断が、まさに修羅場を引き起こした。途中で工事が中断され、会社からは厳しく叱責された。損害賠償さえ請求されたが、それ以上に大事なことがあった。解雇を受け入れる決心をした俺。職を探すことはできるが、あのおばあちゃんを見過ごすことはできなかった。後日、彼女の家族から感謝の言葉を聞き、倒れた時即座に電話したことで重症化せずに済んだと知った。驚くことに、そのお礼として家族が営む小さな工場での仕事の話が舞い込んできた。俺が救ったそのおばあちゃんのお孫さんとの縁もでき、最終的には彼女と結婚し、その工場の技術責任者として働くことになった。人を助けることの大切さを改めて感じる出来事だった。