武井壮は9歳のとき、母と別れたまま44年を過ごした。東京駅のホームで、母は「一週間だけ実家に帰る」と告げたが、その約束は二度と果たされなかった。父も去り、残されたのは兄との日々だけだった。苦しい生活の中でも兄は武井壮を支え、高校進学のために自ら夢を諦めた。しかし兄も24歳で病に倒れ、武井壮は唯一の家族まで失った。それでも彼は兄の思いを胸に、陸上競技で全国優勝し、39歳で芸能界へ進んだ。母の行方は長く分からなかったが、番組が追跡し真相が判明する。母は33年前に再婚し、警察官の夫と家庭を築いていた。そして最期まで鍵をかけていた引き出しが開くと、そこには武井壮の雑誌記事や写真が丁寧にしまわれていた。涙をこらえきれなかった武井壮は、「母はずっと見てくれていた」と語った。離れていても、母の愛は消えていなかったのである。