退職後、新生活を始めた真一と敦子は、貯金のある安心感から贅沢を楽しむ日々を送っていた。夢だったヨーロッパ旅行や、毎晩の高級ディナーに心を踊らせた。しかし、その背後で貯金は着実に減少していったのだ。ある日、敦子が通帳を確認すると、そこには予想を遥かに下回る残高の現実があった。計り知れない恐怖と不安が彼女に襲いかかる。真一に問い詰めるも、彼は「まだ年金がある」と楽天的だったが、事態は収まらなかった。真一は事態の深刻さに気づかず、借金まで膨らんだ。やがて、普段の生活もままならなくなり、銀行からの最終通知が二人の家を襲った。家計の破綻は、二人の関係にも亀裂を生み、ついには離婚を選ぶ。しかし、離婚後の孤独と経済的不安は残る。真一と敦子は、失った絆を取り戻す術を探りながらも、それぞれが新たな道を歩もうと決意するのだった。