スーパーの精肉売り場で、74歳の男性は鶏もも肉のパックを手に取り、値札を見て静かに棚へ戻した。年金暮らしの身では、肉も魚も気軽には買えない。豆腐と納豆と野菜で十分だと信じ、節約は健康にも良いと思い込んでいた。 だが、階段で膝がガクッとする。ペットボトルの蓋も開けづらい。定期検診で医師に告げられたのは、「このままでは二年以内に歩けなくなるかもしれません」という厳しい現実だった。筋肉は四十歳を過ぎると少しずつ減り、高齢になるほどタンパク質が筋肉へ変わりにくい。 そこで医師が手渡したのが、スーパーで買える10の食品メモだった。そばは原材料を確認し、無調整豆乳、焼き鮭、納豆と卵、高野豆腐、ギリシャヨーグルトときなこ、鯖缶の煮汁、卵、鶏胸肉を生活に取り入れる。やがて膝の不安は薄れ、半年後には筋肉量も回復した。節約のために削るべきは肉ではなく、知識だったのだ。