私は雪恵、40歳のシングルマザー。元夫とは娘が3歳の頃に離婚し、以来15年もの間、女手一つで娘を育ててきました。娘の尚美は、小さい頃から音楽が大好きで、ピアノを習い始め、高校生になると作曲をするようになりました。彼女の曲はネット上で人気を集め、今では企業からも仕事の依頼が舞い込むようになりました。ある日、15年ぶりに元夫から連絡がありました。「なおが有名人になったって聞いたんだけど、会わせてくれないか？」と訊かれ、信じられない思いで言い返しました。「あなたが私と尚美を捨ててからというもの、一度も会おうとしなかったくせに、今さら何を言っているの？」実はそれから数週間後、なおの動画に「パパだよ、会いたいよ」と書き込む見知らぬアカウントが現れました。彼の存在を感じ取り、動揺した娘はこう言いました。「ママ、私もパパに一度会いたいの。私に任せて。」15年ぶりの再会。だが、そこにいたのは、かつての夫とは全く別人のような冴えない中年男でした。勝るは尚美が成功したことを利用しようと近づいてきたようにしか見えませんでした。「これ以上、私たちに関わらないで」と言い放つと、彼は黙って立ち去りました。わかりきったことだけど、やっぱり彼に父親を名乗る資格なんてなかったのです。