【ブラッサム】で金子大地さんが演じる木村保の史実モデルは、宇野千代の二番目の夫・藤村忠雄です。学業優秀で、口数は少ないのに不思議な存在感を放つ青年として描かれますが、その静けさこそが物語の核心でした。千代は14歳で兄・良一に嫁ぐも、わずか十日で逃げ帰ります。やがて京都の三高に進んだ忠雄と再会し、六畳一間での同居生活が始まるのです。 彼は千代の素顔を知る数少ない人であり、化粧を落とした彼女を受け止めました。東京では貧しい暮らしの中、二人で働き、ついに千代は作家デビューを果たします。しかし、千代は後に尾崎士郎のもとへ去り、忠雄はただ黙って見送ったまま別れました。その沈黙は、清治の月のような無言と重なります。千代が生涯悔やんだ「ただ一つの過ち」とは、この別れでした。